b

いつまでも子どものままで

2017年ベストアルバム

毎年恒例にしていきたいキモいやつ。

ベストアルバム50

50〜31位

50.Ride「Weather Diariesspotify / AppleMusic
49.Alvvays「Antisocialitesspotify / AppleMusic
48.HYUKOH「23spotify / AppleMusic
47.RAT BOY「Scumspotify / AppleMusic
46.SuchmosTHE KIDS(通常盤)spotify / AppleMusic
45.Real Estate「In Mindspotify / AppleMusic
44.PARKGOLF「REOspotify / AppleMusic
43.E TICKET PRODUCTION「E TICKET RAP SHOW(通常盤)spotify / AppleMusic
42.唾奇 x Sweet William「Jasminespotify / AppleMusic
41.The World Is a Beautiful Place & I Am No Longer Afraid to Die「Always Foreign
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40.Bonobo「MIGRATIONspotify / AppleMusic
39.Arcade Fire「EVERYTHING NOW
38.思い出野郎Aチーム「夜のすべてspotify / AppleMusic
37.環ROYなぎspotify / AppleMusic
36.ヤなことそっとミュート「BUBBLEspotify / AppleMusic
35.FKJ「French Kiwi Juicespotify / AppleMusic
34.Kendrick Lamar「Damnspotify / AppleMusic
33.Father John Misty「PURE COMEDYspotify / AppleMusic
32.Sampha「Processspotify / AppleMusic
31.NORIKIYO「Bouquetspotify / AppleMusic

30.CHAI「PINK」

PINK※CD+コンプレックス図鑑(豪華ブックレット)

PINK※CD+コンプレックス図鑑(豪華ブックレット)

「NEOかわいい」って言葉とともに紹介されるイロモノで、そのイロモノ感があまり好きになれなかったのだが、一聴すれば音楽はカッコいい。「sayonara complex」の冒頭「私の思いは厚めのファンデーションで隠してロンリーナイト」って詞が超いいなと思ったのだが、これってそのままたぶん彼女たちの「コンプレックスこそアート」みたいな思いあってこそ書けた歌詞なんだろうなあと思ったら、簡単にイロモノっていうのもどうかなと思ってきた。まあイロモノなんですが。
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30.SALU「INDIGO」

INDIGO(通常盤)

INDIGO(通常盤)

とにかく全体を通して聴きやすい。特によかったのがゆるふわギャングを迎えてつくられた「夜に失くす」で、MGMTの大ネタありきのトラックもいいのだが、SALU、Ryugo Ishida、Sophieeのそれぞれが三者三様にいいヴァースってのもよかった。このアルバム発表後のSALUの活動はミックステープ「BIS3」やSKY-HI、向谷太一など数多くのアーティストの楽曲への参加、JP THE WAVY「Cho Wavy De Gomenne」のフックアップなどなどとにかく多岐に及んでいたが、このアルバムはその布石だったのかもなあとも思う。
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29.Bullsxxt「BULLSXXT」

BULLSXXT

BULLSXXT

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元SEALDsのUCDがラップする生歌ヒップホップバンドのデビューアルバム。2曲目「In Blue」には仙人掌が参加。このアルバムの強烈なオリジナリティは「政治色」をまったく隠そうとしていないところで、SEALDsが大きく注目を集めた2015年の時点からすでに街宣車の上からUCDがラップしていた「Sick Nation」も収録されている。ラップがめちゃくちゃうまいかというとたぶんそうでもないのだが、やっぱり言いたいことが力強くある表現者は強い。「傷と出来事」のフックっぽいところのフローがなんかを叩きつけてるみたいでよかった。

28.KID FRESINO「Salve(EP)」

Salve

Salve

奇しくも2枚連続してバンド編成でレコーディングされた日本のヒップホップだ…。元Fla$hBackSのKID FRESINOのソロEP。4曲しかないけどどれもいい曲でハズレなし。本人だけでなく客演もとてもよく、リード曲「Salve」のJJJによるフックだけでなく、「Keys open door」のCampanellaのラップも本当にカッコいいし、「by her」の茂千代の人間臭い感じもエモい。来年アタマのワンマンのチケット取れなかったのが残念。
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27.Vince Staples「Big Fish Theory」

BIG FISH THEORY [CD]

BIG FISH THEORY [CD]

海外のラップはあまり聴いていないが数少ない気に入ったもののひとつ。歌詞も読み取れぬままなところが多いが、USヒップホップでありながらトラックにUKガラージュっぽい感じがあるところがなんかカッコよくて好きで、1曲目の「Crab In a Bucket」からいきなり2stepっぽい。調べてたらこの曲、Bon IverのJustin Vernonが参加してる…すげえ…。
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25.けもの「めたもるシティ」

めたもるシティ

めたもるシティ

伊勢丹中心世界」「tO→Kio(トーキオ)」といった楽曲名が示すように、随所に東京やファッションに関するウィットに富んだ表現が散りばめられている。「中国語が聞こえてくるわ」と歌ったあとの「左の子はお姫様だし/右の子は平民丸出し」と韻を踏みながらのラインは皮肉たっぷりだし、フック部分の「銀座の街に革命が起こったらどのブランドを着て戦おうかな」という表現も面白い。しっちゃかめっちゃかなキワモノのような印象も抱くのだが、「River」というバラードはきっちり聴かせる感じの超名曲。誕生日(を扱った詞の曲なんです)の前後は本当によく聴いた。
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24.Ryohu「Blur(EP)」

Blur

Blur

  • アーティスト: Ryohu,河原太朗,Suyama Jackson,谷本大河,高橋絋一,Markun,AAAMYYY
  • 出版社/メーカー: LIQUOR&FOODS I.K / Less+ Project.
  • 発売日: 2017/10/11
  • メディア: CD
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KANDYTOWNのメンバーのなかで一番好きかもしれない。リリックも好きだし、生バンドのトラックもカッコいい。ズットズレテルズの時代からロックもヒップホップもアリの音楽をやってきてるっていうバランス感覚でやってきたからなのか、現在のトレンドに合った音楽を自然体でやってるところがカッコいい。最後の「Say My Name」のほぼピアノだけの静かな感じがオシャレ。
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23.Dirty ProjectorsDirty Projectors

Dirty Projectors

Dirty Projectors

もちろんアルバム全体の印象としてはまったく別物なのだが白人男性ボーカルのファルセットという共通点もあって、最初の二曲は昨年のJames Blake「The Colour in Anything」を思い出した。歌詞までそっくり。元恋人であり元メンバーでもあったAmber Coffmanとの破局・脱退といったゴシップ的なニュースを思い出してみると、確かにその過去を思い出すような詞は妙にリアルである。ただ、このアルバムの最後を飾る「I See You」、「Dirty Projectors」ってバンドが、最後に「The projection is fading away...」と歌うなんて、よくできすぎ。
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22.Nai Palm「Needle Paw」

Needle Paw

Needle Paw

Hiatus Kaiyoteのボーカルのソロアルバム。ボーカルとコーラスとギターだけで録られてることもあって、なんか人間の温かみを感じるような音楽になっててとてもいいと思う。Jimi HendrixRadioheadDavid Bowieなどのカバーもあって飽きない。「Haiku」って曲もあるのだが、この曲は基本的にヴァースは俳句の形式で書かれている。調べたら、英語でもできるだけ5音節−7音節−5音節で書くっていうルールのもとでHaikuという文化が存在しているらしい。おもしろ。
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21.サニーデイ・サービスpopcorn ballads」

Popcorn Ballads

Popcorn Ballads

22曲85分の大作。ほとんどの楽曲の展開のなさは、それまでのサニーデイ・サービスと比べると雑な曲作りという印象を受けなくもない。ただ、曽我部恵一はSWITCHでフェイバリットとして漢 a.k.a. GAMIの「っていうことだよね?」を挙げていたし、C.O.S.A.×KID FRESINOを起用したり、先にストリーミング配信してあとでフィジカルを発表したり、ヒップホップのスピード感に大きく影響を受けているのだろうと考えると、なんか腑に落ちた。ジザメリの名曲のオマージュのアイデアひとつでつくられたであろう「花火」が超よかった。
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20.Niia「I」

I

I

Niiaは「ナイア」なのか「ニイア」なのかいまだにわからない。女性ソロのR&Bアルバムって今年だとSZA、昨年だとSolangeとか、ここ最近傑作がたくさんあってすごいなあと思うのだが、僕はRhyeのRobin Hannibalがプロデュースということもあってこれが一番気に入った。「Last Nights in Los Feliz」はほとんどMassive Attackの「Teardrop」の2017年版という感じでおもしろかった。
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19.寺尾紗穂「たよりないもののために」

たよりないもののために

たよりないもののために

この人の作品をしっかり聴いたのはこれがはじめてだったのだが、なんだかたどたどしいビートに合わせて歌われる「幼い二人」が、歌詞と演奏の雰囲気がマッチしていていいなと思った。声がとてもよく、だいぶ前のものだが、YouTubeにあがっていたJoni Mitchellの「Case Of You」もよかったなあ。
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18.Julian Baker「Turn Out The Lights」

TURN OUT THE LIGHTS [帯解説 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (OLE13032)

TURN OUT THE LIGHTS [帯解説 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (OLE13032)

エモーショナルなボーカルもすごいが、ドラムレスでこの壮大な世界観。1995年生まれの22歳(ちなみに同い年のAKBメンバーとしていずりなこと伊豆田莉奈がいる)。天才だろ。
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17.Blue Hawaii「Tenderness」

Tenderness

Tenderness

全体的にハウスのテイストが増えていて、はじめて聴いたときはDisclosureみたいなハウス!と思って気に入った(いま聴くとそうでもなくて、むしろThe xxとかのほうが近いのだろうが)。アルバム全体に通底するひんやりとしたUKっぽさが好き。たぶん、2月にDisclosureの活動休止の発表があったから、それに代わるニューアルバムを求めてたのかもしれない。
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16.C.O.S.A.「Girl Queen(EP)」

Girl Queen

Girl Queen

形式としてはEPであるが、リリックでの女性への言及が多く、タイトルが示すとおり「女」をテーマとしてつくられたアルバムのようである。「I Can See Your Palm」では自身の伴侶に子どもが出来たら、という設定で物語をつくったとC.O.S.A.はインタビューで述べており、「リアル(=すべてのリリックは自身の実際の体験に基づいて描かれるべき)」が重視されるヒップホップMCとして世に出ていながらそれをあっけらかんと語ってしまうのは面白いし、逆に音楽における歌詞全般は何でもかんでもが自身の体験に基づいたものである必要はないんだなという感想を抱いた。
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15.Cornelius「Mellow Waves

Mellow Waves

Mellow Waves

とにかくまずは先行配信された「あなたがいるなら」で掴まれた。明らかに計算されつくされたズレと音の余白が気持ちよく、坂本慎太郎の詞もマッチしていて切ない。アルバム全体を通して死、未来といった「遠くにあるもの」を見ている感じがあった。「ほらね また だれか きみの うわさ している みんな きみを すきなんだ」っていうフレーズを聴くと、好きな「きみ」がいる輪を遠くから見ている感じがして切ない。なんか、小山田圭吾は寂しかったから久々にアルバムつくったんじゃないかと思った。
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14.Japanese Breakfast「Soft Sounds from Another Planet」

SOFT SOUNDS FROM ANOTH

SOFT SOUNDS FROM ANOTH

前作のほうが名盤とされる雰囲気もあるのだが、こっちをはじめて聴いて気に入ってしまったのでとにかくこのアルバムはよく聴いた。MVはつくられていないけど「Till Death」という曲が本当にやさしくて好き。キーボードのイントロから入るシンプルな構成の楽曲で、昔の日本の歌謡曲っぽい感じもあってなぜか聴いていて懐かしい気持ちになった。歌詞のメンヘラ感もいい。
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13.Rostam「Half-Light」

Half

Half

いつの間にかVampire Weekendを脱退していたRostam Batmanglijのソロアルバム。ボーカルがEzra Koenigでないことを除き、バロックポップのような音と変なビート、なんかクリスマスが近いアメリカっぽい(完全な偏見)感じがまんまVWで、もしRostamが脱退していなかったら次のVWこういう聴き心地のアルバムだったのかも、って妄想した。「Rudy」の「On the night that Rudy was born / Was a great thunderstorm / and Mama knew that / Rudy was Not like the other boys」という歌詞には、2015年ゲイであることをカミングアウトしたRostam本人が重なった。
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12.PUNPEE「MODERN TIMES」

MODERN TIMES

MODERN TIMES

「お嫁においで」やSTUTSとの「夜を使いはたして」といったヒット曲が入っていないにもかかわらず名盤感がすごい。おそらく好きな人にとってはすごく大切な一枚になるんだろうし、歴史的にも名盤として語り継がれるんじゃないか。インタビューを読んでいたら「クラシックっぽいのが求められてると思って焦ってて、未来の自分にこのアルバムをクラシックだと言ってもらうことにした」みたいなことを言っていて、そのアイデア一発でアルバムするするっとつくっちゃうとか才能に溢れすぎていてヤバい。「Renaissance」→「Scenario (Film)」の流れがホントに大好きで何度も聴いた。
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11.Homecomings「SYMPHONY(EP)」

SYMPHONY

SYMPHONY

インタビューで「音源だけでなく、ジャケットや歌詞カードや和訳なども含めて作品と思ってる」という話をしていたので、このEPは買って歌詞カードを読みながら聴いたが、これは確かに単に「聴く」とはまた違った体験で、この体験には英語詞が必要かもなと思った。ジャケットにはよく見ると「FOUR TALES OF SYMPHONY」って書いてあって、短編小説集のような趣もある。夜の孤独感とか寂しさがうまく表現された「PAINFUL」が個人的にはお気に入り。ストリングスとThe Whoみたいなダイナミックなスリーコードで出来てる「PLAY HARD SYMPHONY」は、詞を読みながら聴いてたらなぜだか彼らが敬愛するスピッツの「ヒバリのこころ」を思い出した(詞のテーマが近いんじゃないかと思った)。次のアルバムがめっちゃ楽しみ。
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10.BiSH「GiANT KiLLERS」

GiANT KiLLERS(ミニAL)

GiANT KiLLERS(ミニAL)

5曲だけ(+2017年verの再録楽曲)のミニアルバムだが、とにかくこの5曲が粒ぞろいで、表題曲を除く4曲はメンバー作詞(ハシヤスメ1曲、リンリン1曲、モモコ2曲)。BiSHのストーリーを知った上で聴くモモコ作詞の「Nothing.」がそもそもヤバいのだが、個人的にさらにヤバいのがリンリン作詞の「VOMiT SONG」。Bメロのアイナのあとのサビのアユニ。本当にこの声を聴くと、この人はBiSHに入るために生まれてきたんじゃないかと思える。ハグ・ミィの脱退からのアユニの加入、そしてアイナの喉の手術などを経て、アイナのボーカルに頼り切らない2017年版BiSHのスタイルが出来上がりつつあるのがわかる。何よりその空気感を確実に上手くレコーディングした松隈ケンタディレクションもすごい。
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9.BiSH「THE GUERRiLLA BiSH」

THE GUERRiLLA BiSH(AL)

THE GUERRiLLA BiSH(AL)

1曲目から「My landscape」の壮大さに圧倒され、ブレイクのリズムも今っぽくて素晴らしい。「SMACK baby SMACK」のアユニの歌い方の変化も面白いし、「FOR HiM」のCメロのモモコの力強さも吹っ切れた感じがして好きだし、アイナだけでなく全員のボーカルの個性がこれまで以上に楽曲の魅力となっている。メンバー全員の作詞した曲が入っているっていうのもいい。モモコは3曲作詞してるが特にヤバいのが「JAM」で、こんなに素直に気持ちを詞にできるなんて本当にすごいなと思った。ここからリンリン作詞の「Here's looking at you, kid.」→チッチ作詞の「ろっくんろおるのかみさま」の流れ本当に最高。スッキリとかMステ出てたとき、これからBiSHもPerfumeのような存在なってほしいなって思った。(もうなんか最後のほうレビューじゃなくてオタクの祈り)
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8.The xx「I See You」

I See You [帯解説・ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (YTCD161J)

I See You [帯解説・ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (YTCD161J)

アルバムタイトル、そしてメンバーがうしろのすりガラスから覗き込んでいるようなジャケット(これまでのジャケットも×印のモチーフを中心に使っていたというところでは変わっていないのだが、メンバーがすりガラスから覗き込んでいるような写真にはこれまでにない「色味」がある…このサムネイルじゃなんにも伝わらないけど)には、これまでと同じスタイルでいながら何かが変わった予感を覚える。実際サウンドはこれまでのただひんやりとしたサウンドから、Jamie xxのDJやソロ・アルバムのリリースなどの経験を大きく反映してか、ライブ映えする楽曲が多くなった。フジロックのライブを観に行けなかったし単独も観に行けないのが辛い。歌詞もエモい。
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7.tofubeats「FANTASY CLUB」

FANTASY CLUB

FANTASY CLUB

tofubeatsってアルバム単位というよりは楽曲単位でヒット作や名リミックスを量産しまくってるひと、というイメージだったのだが、楽曲タイトルを大文字アルファベット表記で統一してみたり、「アルバム」を作ろうとした感じが強く出ている。それぞれの楽曲単体でも聴けるがアルバム全体の曲順構成が絶妙で、歌のないトラックが単なるインタールード以上の意味を持って聴こえる。その音の質感こそリスナーによって好き嫌いはあれど、アルバム全体を通して歌われている感覚は、tofubeatsの同世代のほとんど誰もがどこかで一度は抱いたことがあるものなのではないかと思った。後半の「YUUKI」がやさしくて、そのあとの「BABY」はアンセムすぎてずるい。
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6.Beck「Colors」

COLORS [CD]

COLORS [CD]

内省的だった前作「Morning Phase」ではセルフプロデュースだったが、Greg Kurstinをプロデューサーに迎えポップな作風に一変したニューアルバム。アルバムのリード曲「Up All Night」はもともとボツ曲になるはずだったのだが、グレッグが「これはいい!」と絶賛したことで使われることになったという。BeckはGreg Kurstinが自分に自信をくれると語っているが、そういったまわりの人間が作風を変化させたのだろう。「No Distraction」におけるポリスっぽいポスト・パンクあり、「Wow」のトラップありとバラエティ豊かで飽きない。自由な感じがして聴いていて元気をもらえる。
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5.平賀さち枝「まっしろな気持ちで会いに行くだけ」

まずタイトルが超いいので、いいアルバムであることがわかる。愛する人に対する愛に溢れていて、聴いていて幸せな気持ちになれる。「虹」の「今日もどこかで君が笑っているとそう安心するようなさみしさを朝から一つ机にこぼして」って表現とか、本当にすごいなと思う。メロディと詞をまったく別個でつくってるのか、メロディに乗ったものを聴いてもどこで句点がつくのかよくわからん詞が多いのもそれはそれで面白かった。曲の下地は弾き語りのフォークという感じなのだが、様々なバンドのメンバーがバックバンドとして参加していてその演奏がまたよく、良質のポップスになっている。特にベースのイントロから始まる感じを含め、全体を通して60sとか昔のR&B、ソウルっぽさを感じる「春一番の風が吹くってよ」が本当に素晴らしい名曲。晴れた日に散歩とかしながら聴きたい。
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4.YUKI「まばたき」

まばたき

まばたき

YUKIの楽曲ってアルバムによって音楽性に変動があっても、詞世界なのかYUKI本人のキャラクターによるものなのか、どこかファンタジーっぽいところが特徴だったと思うのだが、この「まばたき」では、たしかにそういうファンタジー感はありつつも、なんかビターな感じがするというか、ファンタジーなのに大人が現実に向き合ってる感じがある。「ラ・ラ・ランド」と似ていて素敵だなと思った。すんげーいいアルバムなのに、僕のまわりのYUKIが好きといっていた人、誰ひとりとしてこのアルバムを聴いていなかった。Apple MusicとかSpotifyにある音楽しか聴いてないとこういうアルバム聴き逃すぞって感じがした。超いいので買うべき。ジャケもいい。
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3.The National「Sleep Well Beast

SLEEP WELL BEAST [CD]

SLEEP WELL BEAST [CD]

2017年はここまでのランキングにあげたものだとArcade FireやDirty Projectors、あげてないものだとFleet FoxesやBroken Social Sceneなど、2000年代から現在までのインディーロックシーンを牽引してきた大物たちがこぞってニューアルバムを発表した年だった。ストリーミング配信が定着したいま、当時はTSUTAYAになくてあまり聴けなかったこのあたりのシーンの音楽が大量に聴けるようになって楽しめたのだが、その中でもとにかく圧倒的によかったと思ったのがこれ。まず歌詞がわからなくても音の時点でカッコいい。先行配信された「The System Only Dreams in Total Darkness」で捉えられ、アルバムの配信が開始されたら一曲目の「Nobody else Will Be There」の寂しさに心を鷲掴みにされて…もうホント大好き。
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2.ものんくる「世界はここにしかないって上手に言って」

世界はここにしかないって上手に言って

世界はここにしかないって上手に言って

菊地成孔がプロデュースということで話題になったアルバム。僕はジャズは詳しくないのでよくわからないと思って敬遠していたのだが一回聴いたらめっちゃよかった。アルバム中盤にある「ここにしかないって言って」が短い楽曲ながら、曲名からもわかるようにアルバムタイトルをそのまま歌詞に取り入れており、アルバムの基調を示している。彼らの音楽にマッチした歌詞が良く、言葉選び自体も良いのだが(多少「世界」って言葉が強調されすぎてる感じもするけど)、電話の要件にたどり着くまでの心情を描いた「Birthday Alone」などに顕著なようにストーリーが美しい。ほとんどアコースティックギターだけでの「二人」とかも、ほんとすごい。このアルバムだけでなく、12月になって突如配信された新曲「魔法がとけたなら」も本当によかった。ツアーファイナルのライブも良かった。最高である。
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1.シャムキャッツ「Friends Again」

Friends Again

Friends Again

「AFTER HOURS」以降、その作風を洗練させてきたシャムキャッツの4年ぶりのフルアルバム。歌詞における語り手が一人称だろうが三人称だろうが、それぞれの楽曲で語られるストーリーの登場人物像や人間関係、あるいはその場面、風景がイメージできるシャムキャッツのよさは相変わらずで本当に最高。ただ、バンドメンバーたち自身は「〈目の前の日常、素晴らしいよね〉というだけのバンドになってしまう」ことを恐れ、楽曲面では今までよりもよりシンプルにし、ボーカルの夏目はギターをアコースティックギター一本に持ち替えてみるなど更なる音楽性の進歩を模索している。実際そういった模索は結果的にいままでのシャムキャッツとは違った質感としてこのアルバムに表れているのだが、そういったバンドメンバーの積極性がそのまま詞に反映されているのが「Travel Agency」で、日常から飛び出そうとするような「旅」のモチーフを採用している。ただ何と言ってもこのアルバムで一番いいのは「Friends Again」というタイトルのイメージに直接的につながってくる楽曲「Coyote」で、恋人と別れた主人公のその後を描いたような曲なのだが、7分にも及ぶ。冗長なので初めて聴いたときには多少飽きがくるのだがかなりのスルメ曲で、聴けば聴くほど、楽曲のほぼ最終部分の「いつかどこかでもう一度会えたら今より素直に話すよ」という一節をひねり出すための7分間だったかのように思えるところが本当によい。
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もろもろ思ったことなど

個人でベスト50は無理

2017年最初の時点から今年は年末に絶対ベスト50つくってやる!と決めて延々と聴いてきたのだが、無駄だった。上記にあげたアルバムのなかでも完全に聴きこめてないまま挙げたものも結構ある。これやってみてハッキリわかったけど、1年で50枚も好きなアルバムがある人ってアタマおかしいよ。20枚くらいが限界だと思う。これでもまだ聴き足りてないものがたくさん。slowdiveLCDBSSもSZAもあれもこれも、よくなかったから入れなかったんじゃなくてたんに聴けてないから入れてないってものばかり。どんだけ聴いても世間では「これは聴いとけ!」みたいなものが多すぎるので、トレンドとかすべて追いきろうとしても意味ない。もう音楽を量で聴くのはやめよう。本当にクソみたいだった。まあとはいえ上位10枚に関しては相当気に入ってるし、それらを聴けたってだけでよかったと思うけど。

spotify/AppleMusic/CD

2017年はspotifyとAppleMusicの両方に課金していた。spotifyのほうが操作性がいいのだが、正直聴けない楽曲が多かったのがげんなりした。上記のランキングにはすべてAppleMusicとspotifyのリンクを記載したが、AppleMusicになかったアルバムは3枚だったのに対し、spotifyになかったアルバムは8枚もあった。この8枚が全部日本の音楽だったら「ああ日本はこういうの乗り遅れてるからまあしょうがないんじゃないかなあ」とでも言えるのだが、Blue Hawaii、Alvvaysといった海外アーティストでもないものはないので、まだまだライブラリの充実度で言えばAppleのほうがいい。特に日本の場合はJ-POPがspotifyにないものが多かったり、日本のインディーズバンドでもAppleMusicでは配信してるけどspotifyまでは手が届いていない、というのが結構いるので、どちらか課金するのであれば僕はAppleMusicのほうがいいと思う。
spotifyはPCでは右側に友人の最近の再生曲の情報が流れてきていたり、プレイリストのシェアもしやすい。そういう「音楽はシェアするもの」という前提でつくられてるっていう感じが今っぽいしとてもいい。しかし、実際にはspotifyの普及率は若者でもおそらくそこまで高くないし、新曲が発表されたときにspotifyをシェアしても聴けないひともまだ多い。
あと、そもそもサブスクリプションって「聴き放題」だから、そこにある楽曲が世界の音楽のすべて!と錯覚しちゃいそうになるんだけど、むしろspotifyやAppleMusicにないけど確実にいい曲って、日本の場合はメジャー/インディー関係なく山ほどあって、ランキングに挙げたものだとYUKIもそうだし、あと日本のヒップホップは結構はいってない人多くて、5lackとかNORIKIYOとか。あと地下めのアイドルもその傾向があったりして…。
サブスクリプションで聴けない音楽を定期的にチェックしないといろいろなものを見落とすなあということも感じたので、今年はそこそこCDを買ったと思う。サブスクリプションで聴けるのに歌詞カードやライナーノーツや訳詞、ステッカーなどのグッズ欲しさに買ったものもあった。CDの可能性は握手やチェキや選挙だけではないのではないかと、ほんのちょっとだけ思った。

日本/海外

せっかく無駄に50枚も並べたので国別比率みたいなのも出してみると、全50枚のうち、半数以上の27枚が日本、13枚がアメリカ、イギリス4枚、カナダ3枚、オーストラリアフランス韓国がそれぞれ1枚ずつとなった。
やっぱり日本語の歌詞のほうが意味がちゃんと頭に入ってくる感じが気持ちよくて日本のものが多くなる。とはいえ日本のものばかりだとつまらないので海外のものを聴いても意味がわからなくて辛い。英語ならまだ入ってくるところもあるのだが、英語圏以外の音楽となるとさっぱりわからないし、訳詞を読んでもその言語の文法や単語がわからないとどう訳したのか、元はどういうニュアンスだったのかというのがわからないので、本当にわからない。49位に挙げたヒョゴは韓国語がわかればもっと上の順位だったと思う。
ランキングにあげたものだとシャムキャッツ、Homecomings、CHAIあたりは海外でのツアーなども組んでいる。その国のバンドの交流があったりもして、日本の彼らのライブにそういうバンドが招待されたりもしている。韓国や台湾、あるいはタイなどの東南アジアなどアジア圏の音楽もカルチャー系のメディアではそこそこ取り上げられるようになったので聴くようにしていたが、何度も聴くほど好きにはならなかった。歌詞のことを考えると「わからない」ばかりでストレスになってしまうから、海外の音楽に目を向けなくても気にならないくらい、もっと日本の音楽が多様になってほしいと思っている(もちろんそれでも海外の音楽も聴くだろうけど)。
あと、単純に国別っていうのでわけると思ったよりイギリスが少なかったなと思う。もともとブリットポップなどを聴いてきたのでUKはロックにかぎらず結構贔屓してるところがあるのかと自分で思っていたがそうでもなかった。ただ、Vince StaplesやBlue Hawaiiあたりには明らかにUKガラージュっぽさを感じて聴いていたのはあるので、ロックではないものの、結局は「UKっぽさ」は好きなのかも。

バンド/ソロ/アイドル/クルー

グループアイドルが再び新たな形で日本の音楽のあり方の一つとして定着し、フリースタイルダンジョンの開始から2年がたってヒップホップも確実に市民権を得た。音楽制作においてもPCひとつあれば素人でも曲をつくれる時代である。ツアーをするにも、アイドルの場合は録音音源さえあれば機材を運ぶ必要はないし、ヒップホップにしたってバンドよりも機材の数は少なくて済む。このような時代状況のなかでは、同じ固定のメンバーで、ギターとベースとドラムとプラスアルファいくつかの楽器という構成が主流の「バンド」という形態の存在意義はほぼなくなりつつあると言ってしまってよいだろう。
ただでは完全に一人でやっていればいいかというとそうでもなくて、あげたものでいうとYUKIは基本的に自身のキャラクター以外では歌と作詞以外はすべて誰かに任せているし、トラックメイクもすべて自分でこなせるPUNPEEでさえラップでは何人かを呼んでいるし、トラックも収録曲すべてPUNPEEがつくったわけではない。BeckもGreg Kurstinとの共同作業だったからこそ前作とは様変わりしたアルバムをつくることができたわけだし、平賀さち枝の今回のアルバムもバックバンドの存在意義があまりに大きい。BiSHだっていまの6人のメンバーは最高だけど松隈ケンタのレコーディングディレクションがあったからこそ大きく成長している。このようななかで「バンド」という形式自体の存在意義の低下は認めつつも、「バンド」という形態に付随するメンバーの仲間の関係は音楽制作の上で非常に重要なのだろうなと、今更だが改めて思った。
楽曲制作のあり方は少なくとも海外においては、同じメンバーがずっと一緒に何曲もつくっていくというスタイルよりも、楽曲単位で共同作業者を変えていくスタイルが主流になりつつある。おそらくこういう制作スタイルは、共同制作した双方がそれぞれの次回の作品にその制作のなかで学んだエッセンスを取り込むことができるし、ジャンルを越えた影響を与え合うことができる。音楽のクロスオーバーが当たり前な時代を反映しているとも言えるだろう。同じヒップホップのジャンルでも、ラップの仕方は個々人によってまったく違ったりするから、一緒につくったあと互いに影響を受けてフロウやリリックが変化するってことが結構ある。
というふうに考えると、音楽ってそのまま制作陣の個々人の能力と人間関係がいままで以上に反映されてると思って聴いたほうが面白いなと思った。だからか、例年インタビュー記事は自分が聴いていてのイメージが限定されてしまうからという理由で読まないことが多かったのだが、今年はインタビュー記事から誰とどういう雰囲気でつくったのかみたいな情報を仕入れているのがめっちゃ楽しかった。今年上位10枚にあげたものは、たぶん日によってはまったく別のランキングになったりするんだけど、それでもシャムキャッツを一位にとりあえずしたのは、彼らが「Friends again」(そもそもこのアルバムタイトルがバンド内の人間関係っていうところと奇妙に響鳴するっていうところも面白い)をつくるにあたってバンド内でのパワーバランスを調整した(すげーざっくりとした言い方だけど)みたいなエピソードが面白かったからだったりする。

「やさしい」音楽を好んだ一年であった

割とここまでの話は時代状況とかも含めて書いてきたんだけど、ここからは完全に超どーでもいい個人的な話で、今年は特に「やさしい」音楽を好んで聴いた気がする。
「やさしい」というのは、自分でもうまくまとめられないのだけれど、「がんばれ!」「変わるんだ!」「勇気を出すんだ!」といった類の応援ソングでもなく、かといって「そういうのも悪くはないんじゃない?」というようなあまやかしソングでもなく、かといって鬱ソングや自虐ソングでもないなにか、だと思う。具体的には、BiSH「VOMiT SONG」「JAM」、tofubeats「YUUKI」、Suchmos「MINT」、YUKI「聞き間違い」、Homecomings「PLAY HARD SYMPHONY」、あとは平賀さち枝のアルバムの各曲などあたりがすげー「やさしい」と思った。

以上、単なるオナニーでした。2018年も楽しみです。