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いつまでも子どものままで

20160809

車窓から見える住宅街の風景には、すぐに田畑が忍びこむようになり、一番奥に見えるものは海になったり、山になったり、あるいはビルに遮られて見えなくなったりする。たまに灰色や、赤と白の横のストライプが入った煙突がそびえる。
日中は家で寝ている僕には、青い空のもとに広がる、どこまでも、どこも違うのに似たようなものにしか見えないその町並みが、なぜだか愛おしい。なぜだか僕を奮い立たせる。僕は顔を左に向けながら、川があれば、ただの川でしかないとわかっているのに、「あっ、川だ!」と思い、知ってる企業の工場に大きな看板がついていれば、心のなかだけでそれに大騒ぎを起こしている。大鷺が飛んでいるのが見えれば、家の近くでは見れて小鷺程度だなあなどとも考え、そしてこのような些末な事象にさえ、やはり僕は興奮した。たまにバイト先の店の系列店が見えた。そのとき僕は仕事のことを思い出したり、忘れたりした。今日は休みだった。
太陽が眩しい。たくさんの車が並ぶ駐車場で、各々の車がその色を主張している。たまに見える赤はあまりに鮮やかで、白や黒やグレーと、あとは緑と空の青だけで構成されたいかにも日本的な風景に彩りを与えている。赤でなくてもいい。日頃見慣れない鮮やかな色を見るだけで、心は奮い立つ。二時間は、右側の富士山に興奮する暇なく、あっという間に過ぎた。