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いつまでも子どものままで

第八回AKB48選抜総選挙の岡田奈々さんに心を揺さぶられた

2年ぶりくらいにAKBのCDを買った。「翼はいらない」。向井地美音がセンターの曲だ。バイト先でも最近ずっと流れている。翼があったらいいなって考えてみけど、よく考えたら翼はいらないやという曲である。超いい曲だ。秋元康になりたい人生だった。

まあもちろんこのご時世に曲がよかったからCDを買うなどありえない(そんなことはない)。第8回AKB48選抜総選挙に投票しようと思ったからだ。友人の誕生日を祝いに秋葉原に行き、誕生日にシャンパンでも買っていこうかとドン・キホーテに寄ったら、急にいてもたってもいられない気分になって、一枚買った。
そのときは「誰に投票したらいいのかなウキウキ」と思っていたのだが、よく考えたら渡辺美優紀さんは卒業を決めていたし、穴井千尋さんも立候補しておらず、やがて卒業発表をしていた。ドラマ「ゆとりですがなにか」での好演も記憶に新しい島崎遥香さんくらいしか投票しようと思うメンバーがいなかったのだが、だがしかし「ゆとりですがなにか」ではむしろ吉岡里帆さんのほうが印象的だったし、最近の「塩対応」「毒舌」が過ぎて不器用というよりむしろ普通に性格が悪いだけ(そんなことはない)とさえ思える島崎遥香さんに投票するのもなんだか気が引けた。僕はそんな経験がまったくないからわからないけれど、昔の女を思い出しては「アイツが変わったんだ」と合理化を働かせる男の気持ちというのは、こういうものなのかもしれない(そんなことはない)。
とにかく、久々にCDを買った僕は結構総選挙というイベントに楽しみを持っていたのだが、2016年6月17日15時の投票締め切り時間を、僕は乃木坂46の動画かなにかを見ていて、すっかり忘れてしまっていた。せっかくCD一枚買ったのに、誰にも投票しなかった。ほとんど無駄金だった。急に冷めた。フジテレビの中継も見ようと思っていたのだが、ほとんど見なかった。前半は寝ていて見ず、後半は夜勤だったので見なかった。ただ、起きたとき岡田奈々さんが14位に入ってスピーチをしていた。そのあと12位くらいまで見ていたのだが、どれもあまり印象に残っていない。というか、別にAKBに限ったことではなく、アイドルが所信表明や、メンバーやオタクへの感謝を述べているもの全般について、恥ずかしくて真剣に聞いていられないことが多いのだ。「乃木坂工事中」も好きだが、最近は選抜発表の回なんか正直ほとんど流し見で、あとになって「え!?○○が入ってないじゃん!!!」と勝手に憤ったりしてるくらいでしかない。

AKB48 チーム4所属 岡田奈々 (Nana Okada)

ただ、岡田奈々さんのスピーチだけは記憶に残っている。確かに岡田奈々さんのスピーチもまた、僕にとっては他のメンバーと同じように、聞くに耐えないものだったというのが率直な感想だ。ただ彼女はそのスピーチの場面で一つ告白した。それは、彼女が休養期間をとっていた理由であった。機能性低血糖症過食嘔吐を繰り返していたという。機能性低血糖症というのがなんなのか知らないが、僕も体質上結構よく吐くので、「うええ」という気分になった。
彼女はそのあと、「これをいったら嫌われちゃうんじゃないかと思っていた」と続けた。そのとおりだと思う。アイドルに説教をするような厄介である資格もそのつもりもないしそもそも現場に行くことなどほとんどないのでその筋合いもないということもわかっているしその上であえて言うのだけど(結局厄介)、実際に彼女のスピーチを聞いて「はあそうですか」くらいの感じで、嫌いにはならないけれどもなんとなく距離を置きたくなるような(アイドルとオタクなんて本来距離があって然るべきものだとも思うけれども)感覚を持った人というのは、いるのではないかと思う。だいたい、こんなことを言っても、なんか「えっ」ってなるだけなのだ。
だが、彼女はすべてをオタクに伝えた。悪い言い方をすれば、様々な配慮を抜きにして、いい言い方をすれば、まっすぐに、伝えた。よく言ったな、と思ったのと同時に、よくそんなことが言えたな、とも思った。あまりよく知らないけど、岡田奈々さんらしいなと思った。

僕はAKBのライブに数えるほどしか行ったことがなく、しかもどれに行ったかもさして覚えていないが、研究生武道館のときの「黒い天使」を歌い踊る岡田奈々さんは非常に印象に残っている。二階席から見ていても、際立って目立っていた。でも、家に帰ってきて彼女について調べれば調べるほど、興味は薄れていった。彼女はいわゆる「クソ真面目」なのだが、なんとなくクソ真面目は好きではないのだ。そのあとAKB関連の番組では彼女の「真面目キャラ」を前面に押し出した時期があったのだが、これもやはり僕はあまりピンと来なかった。現場に行けば推しメンが見つかるというのは嘘だなと思った(そんなことはない)。
そのあと、だいぶ時間があいてほとんど最近のことだと思うけど、彼女は髪をバッサリと切った。その前には(あくまで舞台に出演するためではあるが)金髪にしていた。やたらと髪型を変えるメンヘラ女みたいだなあとも思い、なおさらちょっと気分が遠のいた。それくらいの距離感で見ていた岡田奈々さんのスピーチに、なんだか色々な感情を揺さぶられた。だからなんだという話だし、ここからどういうふうに文章をしめたらいいのかまったくわからなくなってしまったけど、渡辺麻友さんが言ったように、いまAKBはピンチだ。でも、岡田奈々さんには幸せになってほしいし、そのためにもAKBにはピンチを切り抜けて欲しい。頑張れ。音楽から政治を切り離せるわけなんてないんだ。僕も今日からまた、頑張るんだ(何を)。