b

いつまでも子どものままで

欅坂46「世界には愛しかない」

日付は変わって2016年6月18日、横浜駅からの最終電車に乗り、手を振り見送る友人に、同じように手を振り返す。電車が少しずつホームを離れ、彼らが見えなくなると、僕はほぼ条件反射でアイフォーンに手を伸ばす。アイドルの自撮りの待ち受け画面の上に規則的に、並べられたアプリケーションのなかから、一番下の段の左から二番目をタップしツイッターを開く。そしてそこで見た一文を見てこれもまたほぼ条件反射でツイッターを閉じ、アプリケーションをラジコに切り替える。
曲が流れている。アコースティック・ギターのやかましいカッティングと、ドタドタとしたドラムビートが絡まったトラックの上で、ピアノやエレキ・ギターのフレーズが輝く。少女が何かを言っているのが聴こえる。デジタル・リマスタリングされ、どこか機械的になった少女たちの声は、耳を通り僕にみずみずしい生命力を伝える。
横浜からの下り線は、横浜駅を出たそのあとすぐ、電波が悪くなる。曲が途絶える。もどかしくなる。途絶え途絶えのトラックのなかで、「虹がかかった」という一節だけが、はっきりと聴こえた。世界には愛しかないんだ。OK余裕。コンビニでメンチカツを2つ買って、ブルーハーブリリスク聴きながら一駅ぶんだけ歩いて帰った。