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いつまでも子どものままで

年間ベストアルバム2015ほか、音楽関係いろいろ総括

久々にブログ書く。
2015年はApple Musicのおかげでさまざまな音楽に触れることができた。5年前の自分なら絶対に手を出さなかったであろうジャンルをとりあえずライブラリに入れておくことができるようになったので、手当たり次第ライブラリに入れておき、あとで聴いてみようかなと思ったらオフライン再生できるようダウンロードしておく、というのが生活の基本になった。新譜・新曲はあまり聴かないタイプだが、ここ2,3年では1番聴いたので個人的に好きだったものなどまとめておく。ちなみに、ケンドリック・ラマーは入っていません。

1.ベストアルバム(順不同)

ねむらない/髭

ねむらない

ねむらない

  • ロック
  • ¥2000
2007年のSNOOZER、『snoozer (スヌーザー) 2007年 12月号 [雑誌]』でかの有名な「SNOOZERが選ぶ日本のロック/ポップアルバム150枚」特集が組まれた号で表紙を飾っていたのが、髭の須藤寿であった。僕は日本の音楽を聴く上でこれをカタログ代わりに使ってきたのだが(実際同じことをしているリスナーはきっとたくさんいるはずだ)、当時の僕は髭だけはあまり積極的には聞けなかった。奇をてらいすぎている言葉選びがあまり好きではなかったからだ。当時ポリリズムのヒットですっかりメジャーになったPerfume、しかもその中でも僕が一番好きだったのっちこと大本彩乃さんが、当時ラジオで「寄生虫×ベイビー×ゴー!」が好きですと言っていたり、聴くチャンスはいくらでもあったように思うのだが、それでもやっぱりよくわからなかった。
「ねむらない」における髭は、その当時の奇をてらいすぎたグランジとは大きく作風を異なるものにしていて、歌詞はいままでよりは直接的で、切ない。少し暗いけどとても聴きやすくて落ち着く。「闇をひとつまみ」を初めて聴いたのは彼らがYouTubeでスタジオセッション動画をアップロードした時であったが、詩がよくてアルペジオが綺麗で明るすぎない曲調であればたいてい好きであるという単純な僕はとにかく、いい曲だなと思って何度も聞いた。たぶんありきたりな選曲なんだろうけど「ジョゼ」「檸檬」「なんて素敵でいびつ」あたりもいい感じ。

髭『闇をひとつまみ』"CLUB JASON 2014"

Carrie & Lowell/Sufjan Stevens

ベストアルバムを書くといっておきながらいろいろアレだが、正直聴き始めたのはつい最近だ。
こうやって「2015年ベスト」みたいなものを書くにしては、Julia HolterもJamie xxもArcaもKendrick LamerもCourtney Barnettも聴いていなかったので(いや、正確に言うと全部聴いてはいたんだけど…なんかあまりぴんとこないものが多かった)、ここ2週間くらいいろいろ聴き直しているなかで、どっかへ向かう電車のなかで、聴いた。こんなに素晴らしいのかと感動した。Carrieは2012年に死んだヤク中の母、LowellはそのCarrieと再婚し、現在Sufjanとともにレーベル運営を行う義父で、このアルバムはその母の死と向き合うなかで生まれたんだそうだ。でも、そんなことはよく知らなかったけど、一曲目の「Death With Dignity」で「I forgive you, mother」って歌われたあたりで、アルバムの世界に飲み込まれた。そのあとの「Should Have Known Better」も最高。
「クリスマスくらいになると聴きたくなるアルバム」っていうのが、人それぞれあると思うんですけど、僕のなかではこのアルバムがまた新たに1枚入ります。もうさっきから合間を縫って10周以上聴いてる。

Sufjan Stevens, "Death With Dignity" (Official Audio)

Awesome City Tracks 2/Awesome City Club

Awesome City Tracks 2

Awesome City Tracks 2

  • Awesome City Club
  • ロック
  • ¥1600
架空の街「Awesome City」のサウンドトラックをつくるとかいう謎のコンセプトを持つACCというバンドの2ndだが、明らかに「東京」を意識している。「Lullaby For TOKYO CITY」なんてわかりやすいトラックもあるし。このアルバム全体の雰囲気こそまさに「東京」という感じ。アーティストの大村雪乃さんという方が、都会の夜景をテーマに作品をつくっていて、京都や横浜なども題材として扱っているんだけど、どこか21世紀の東京の情緒がある気がしている。ACCの「東京」感ってまさにこういう感じ。っていうか、大村さんのiPhoneケースほしい。
中高時代を東京で過ごした僕にとって、横浜は、東京の喧騒をやり過ごす逃げ場であった(電車で二時間ちょっとだし、軽く考えていても大きな間違いにはならないような距離でよかった)。いま僕はその「逃げ場」だった横浜のはずれで生活しているわけなんだけど、たまに東京に行くと、今度は東京が「逃げ場」なんだな、と思えてしまうときがある。一人で渋谷から終電に乗る帰り道、途方もないエモさに襲われる。「アウトサイダー」…。東京って、人によっていろんな捉え方ができるから素敵ですよね。ぜんっぜん憧憬なんてないけど。たぶんこのアルバムは東京という地域に対する明確な批評性があるんだけど、いま僕が捉えているのは、また別物っぽい。このへんはまた今度書きたい。

Awesome City Club - アウトサイダー Music Video

ハートクチュール/chay

作曲・プロデュースに多保孝一、何曲かの作詞にいしわたり淳治という、Superflyのタッグがバックアップしてるんだから悪いわけがない。古き好き歌謡曲のようなメロディラインをCanCamのモデルが歌っているというギャップがいいし、世界最高級の多幸感があって聞いていて幸せになれる。インタビューなどを読んでいると、chay自身からも多保孝一らスタッフへのリスペクトが感じられていいなと思う。彼女が使ってるテレキャスターはラインストーンが敷き詰められていてナンセンスの極みなんだけど、そもそもCanCamのモデルが昔の歌謡曲を歌っているというのも一歩間違えればナンセンスだし、だけどナンセンスもこれだけ積み重ねれば最高なんだよという感じ。
彼女はよく「売名だ」と批判されているらしいのだが、テラスハウスに彼女が出て、ある程度の売名が成功したことでこのアルバムが多くの人に聴かれたというなら(本当にそうなのか?わからないけど…)、それはとてもいいことだったんじゃないかと思うときがある。なんで僕がこんなに彼女を肯定しようとするかというと、テラスハウスに出ていた彼女が本当に好きだったからです。だって、男性をデートに誘うとき、自分で「え、キモい?」って確認しちゃうなんてお茶目すぎる。そういうお茶目なchayのパーソナリティが前面に出ているアルバムだし、今後彼女がどういう活動をしていくのかはよく知りませんが、記念碑的なアルバムになるんではないでしょうか。

chay 「あなたに恋をしてみました」(short ver.)

Anthems for Doomed Youth/The Libertines

リバティーンズを借りて聴いた時、僕は16歳だった。多感だった僕は、TSUTAYAの試聴機で「Death On The Stairs」のイントロを聴いて、ロックに目覚めてしまった…というのはまったくの嘘で、ただロキノンで何かと話題だったから聴いただけだった。高校の仲間と組んでいたバンドでもこの曲をコピーした。その当時、リバティーンズのメンバーはみんな20代半ばくらいだったんだけど、すでにバンドは事実上解散していて、僕にとってリバティーンズとは、それまでに残されたかの有名な2枚のアルバムだけであった。そのアルバムに閉じ込められた彼らは皆20代だったので、リバティーンズは永遠に20代のしょうもないヤク中グループだと思っていたんだけど、再結成した彼らはもう30代も半ばになっていた。気がつけば僕が20代半ばだ。それだけ時間がたったということなのだ…絶望だ…「Anthems for Doomed Youth」ってタイトルがさらに絶望…。
8月末に行ったイギリスの街の壁には、このアルバムの宣伝ポスターがこれでもかというくらいにたくさん貼ってあって、イギリス旅行のことも思い出す。アルバムのクオリテイとか、そういのはよくわかりません。このアルバムがいま聴けているということそれだけでいいです。すいません本当に。

The Libertines - You're My Waterloo

2.曲単位でよく聴いたもの

WINDLESS DAY/シャムキャッツ


シャムキャッツ - WINDLESS DAY live at 浦安鉄鋼団地
「ねえ、今日はどんなことあったの? 私はねえ、なんもない」。なにこの空虚感!!! 夏から秋にかけて、駅に向かいながらよく聴いた。あのときの生ぬるい空気が思い出される。最高。

My Life/ZORN

【Official Music Video】ZORN / My life (Prod. by DJ OKAWARI) from the album The Downtown (P)2015昭和レコード
2015年は日本のヒップホップにふれたということが音楽体験においては一番大きなことだったように思う。まあ「フリースタイルダンジョン」のおかげですけど。KOHHはApple MusicになくてYouTubeくらいでしか聴いていないので、選外。

泣き虫ジュゴン/吉澤嘉代子


吉澤嘉代子「泣き虫ジュゴン」
2015年の曲じゃないけど、アルバムが今年出ているので。本当に声も音作りも歌詞も、みずみずしくて切なくて好き。ファン層が大森靖子とかぶっていそうだけど、この感じは吉澤嘉代子でしか聴けないんじゃないかと思う。たまに深川麻衣さんに見えるときがあるけど、これもそういうとまいまいファンに怒られそう。アルバムは綾小路翔が参加してるとか。

Green Flash/AKB48


【MV】Green Flash / AKB48[公式]
「ほんの少しだけ遠回りもいいよね/明日いいことあるかもしれない」…このフレーズだけで上半期乗り切れた。本当に、「ザ・AKB」な曲は「大声ダイヤモンド」から「ヘビーローテーション」まであたりで、そのあとのAKBには「らしさ」がないと思うんだけど、それでもこうやって定期的に秋元康の詞は僕を捕まえては泣かせる。「いつか観た古いフランス映画」は、エリック・ロメールの「緑の光線」なんだそうだ。観たことないけど。

LOVE ME RIGHT/EXO


EXO_LOVE ME RIGHT_Music Video
後半にちょっとだけK-POPを聴いていた。当初はただのEDMだなあ…程度だったのだが、TLで流れてきたDAZEDの記事を読んでからはちょっと背筋正して聴いた。「Get Lucky」「HAPPY」「Uptown Funk」「Blurred Lines」のトレンドをしっかり汲んだ曲作りをしていて、それをアイドルが歌ってるっていうのが、韓国らしい。あと、SEVENTEENとかいうのもよい。

3.2015年のものじゃないけど、2015年に出会った素晴らしいアルバムなど

対話/リブロ

胎動

胎動

  • リブロ
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥1500
日本のヒップホップはできるだけ聴いたけど、一番自分にしっくりきたのがこのアルバムだった。先日後輩と飯を食っていたときに「リブロのアルバムが本当に好きで、僕の人生のベスト10に入るくらいなんじゃないかというくらい好きなんだよ」と言おうとしたら、「リブロって…なんか…『文化系ホイホイ』ですよね」と真顔で言っていて、本当に辛かった。ジョン・レノンを聴いて当時の若者が「これは、僕のことを歌っている!」と興奮して狂信的な信者になったそうですが、僕も中学2年生のとき、BUMP OF CHICKENを聴いて「コイツはおれなんじゃないか!」と思って好きになった(まさに『中二病』だ…)。そしてリブロも、2015年の僕を歌っているようで丹念に何度も聴いた。成功とは、多い失敗と表裏一体!

リトルメロディ/七尾旅人

僕と七尾旅人の出会いは、実は2015年になってやっと1stシーズンから全部観た「テラスハウス」であったので、僕の七尾旅人評には本当に価値がないということは事前に明らかにしておきたい。しかし、七尾旅人は(僕から見れば)、いままで奇抜で前衛的?なことをしていたけれども、震災を機に純粋なメロディを選んだ。きっとそういうことだ! …こんな感じで職場で熱弁したら、「そうやって、いろいろめぐりめぐって一番純粋なところに戻ってくる感じがお前と似ているね」といった内容のことを言われて、そのときはどういう顔したらいいのかよくわからなかったけど、ちょっと嬉しかった。「湘南が遠くなっていく」はわかりやすいサザンのオマージュだけど、「テラスハウス」のためにつくられたんじゃないかとさえ思った。ファンが怒りそうだけど…。

The End of the Ring Wars/The Appleseed Cast

2015年前期はスロウコアとエモを聴いていたんだけど、そのなかでもとにかく一番かっこいいなと思ったのがこのアルバムだった。ほぼ夜が明けるような時間帯、仕事からの帰り道にほぼ毎日聴いていた。「Stars」とかのぐっちゃぐちゃな感じもいいけど、やっぱり「Marigold & Patchwork」。イントロからのテンションの上がり方が泣ける。

On the Brink/The Thirst

海外旅行なんていままで一度も行ったことのなかった僕だったが、2015年は中国とイギリスと、年に2ヶ国も回ってしまった。イギリス、ロンドンのトッテンナムコートの交差点で路上ライブをしている彼らに遭遇。調べてみるとストーンズリバティーンズの前座をしたことがあるというのと、久々に生で見るロックサウンドのカッコよさに惚れ込んでシングルCDを一枚買ってしまった。でも、日本に帰ってきたらリュックに入ってなかった。Apple Musicにあってよかった。日本ではP-VINEと契約しているらしい。

True Love Waits: Christopher O'Riley Plays Radiohead/Christopher O'Riley

True Love Waits (Christopher O'Riley Plays Radiohead)

True Love Waits (Christopher O'Riley Plays Radiohead)

  • Christopher O'Riley
  • クラシック
  • ¥1600
結局のところRadioheadのCreepで自分を説明できるような薄っぺらい内面しか持ち合わせていない私は、高校2年生のときにAmazonでなぜかこのアルバムを買い、定期的にこれを聴いて村上春樹を読みながら(読んでない)「これは困った」とため息を吐くように言い捨てるような生活をかれこれ10年近く送っているのだが(送っていない)、ここ2年くらい聴いていなかったので久々に聴いた。仕事・勉強のお供に聴くと最高に捗ることに今更気づいた。収穫だった。


Pitchforkのベストとか見てると、本当に僕はまったくピッチ厨になりきれていないんだなと思います。
pitchfork.com

2016年も音楽楽しみたい。


タナソーのこの言葉マジで好き。