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いつまでも子どものままで

佐藤亜美菜とかいうシンデレラガールについて

 後輩に「佐藤亜美菜はなぜかわいいのに順位が下がってきているのか」とTwitterで聞かれたのでブログを書くことにした。こんなことアケカスからすれば常識だろうという話だが、じっくり書いてみよう。

 

 彼女はシンデレラガールだ。かつての彼女は、秋元康の目にとまってシングルCD選抜入りすることは一度もなかった。ファンたちはどうして佐藤亜美菜というかわいい子が選抜入りできないのかと不満に思っていた。秋元康はその不満を聞き、「選抜総選挙」を実施した。

 第一回選抜総選挙。上位メンバーはシングルCD選抜常連、すなわち秋元康に「推されている」メンバーが名を連ねる中、佐藤亜美菜は秋元のプッシュという後ろ盾なしに8位に食い込んだ。奇跡だった。この瞬間、彼女は「干され」とそのファンたちの希望の星になった。

 しかし、その第一回選抜総選挙で選ばれた上位21人による「言い訳Maybe」、このPVに佐藤亜美菜が映ってるシーンは本当にわずかだ。彼女はそれを見てトイレに駆け込んで泣いたというエピソードはあまりに有名だ。ファンは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の総合プロデューサー・秋元康とやらを除かなければならぬと決意した。秋元康が降参するまで終わらないその物語は、こうして始まった。

 

 そしてその物語は、現在まで続いている。しかしどうだろう。回を重ねるごとに佐藤亜美菜選抜総選挙における順位は下がり、今年の第四回選抜総選挙では遂に彼女ははじめて選挙で選抜落ちした。もはや邪智暴虐の王に一矢報いることさえできそうにない。

 ファンたちと彼女は落胆したか。いや、そうではなかった。彼女はカルトアイドル(確かこの表現はヤンマガかなにかのグラビアではじめて登場した言葉だ)としての地位を確立した。ラジオでは独特の毒舌で人気を博し、ニコニコ生放送でのレギュラーを獲得した。アイドルにあってはならぬほどのブヨブヨとした醜い体型でも、ファンは愛し続けた。

 総選挙で順位が下がっている? そんなことはどうでもいいのだ。恋愛禁止なのに合コンに行った? そんなことは、もっとどうでもいいのだ。彼女の一挙手一投足を見聞きするだけで幸せは発生し続けるのだ。

 

 佐藤亜美菜の順位の下がり方に落胆する人は、もっと佐藤亜美菜のファンになればいい。もちろん、ファンになったところで、もっとその順位の下がり方や運営の待遇に、落胆するばかりであろう。しかしそこには独特のアイロニカルな視線が生まれるはずだ。そしてそのアイロニカルな視線は、佐藤亜美菜を肯定し続けるであろう。「世界に一つだけの花」に代表される個性尊重ゆとってオッケーみたいな風潮へのアンチテーゼとして現在のAKB48というシステムは君臨していたわけだが、そのシステムはいつの間にか、佐藤亜美菜という世界に一つだけの花を自然に生み出していたのだ。

 

 誰にでもそこに存在する理由がある。順位が下がろうがなんであろうが、佐藤亜美菜がアイドルとしてある理由がある。彼女は物語を背負い、今も干されの星として輝いている。その妖艶な光に、今日もまた魅せられていく者がいるのだろう。まあ、僕はぱるる推しなので知ったことではないが。